Osaka Gardening Journal

園芸業界の中の人が書きます

プリムラの話

タキイ友の会の会報誌に、原種プリムラがいくつか紹介されていたので興味を持ちました。さすがに大阪では夏越しが難しいと思うのですが、秋冬シーズンにはプリムラは主役級ですから、ちょっと調べてみました。

 

プリムラをざっくり大別すると、

  1. 花壇やプランターでよく利用されているジュリアンやポリアンサ、マラコイデス
  2. 鉢花として普及しているオブコニカなど
  3. 宿根草山野草として利用されている原種
  4. プリムラとはあまり言わないけど、日本のサクラソウ

という感じでしょうか。

 

原種のひとつ、プリムラ・エラチオール(Primula elatior

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プリムラ・エラチオール

プリムラ・ポリアンサの交配親のひとつ。見るからに、って感じですね。

 

ぜひ育ててみたいと思ったのですが、ざっとネットで調べてみた感じでは、夏越しが難しそう。今のところ大阪で育てる自信なし。

 

タキイでほかに紹介されていたのは、プリムラ・べリス、プリムラ・デンティキュラータ、プリムラ・ビアリーなど。いずれも宿根草メーカーのカタログで目にしたことがあります。なんというか、マニア向けですね。

 

これら原種のプリムラ類は寒さには強いけど暑さには弱い宿根草です。最近の猛烈に暑い夏、まして大阪の夏を越せるんでしょうか。「耐暑性:中」みたいな書かれ方してる場合が多いんですけど。いつか育ててみたいなあ。

宿根草花壇のハウツー本でもプリムラ系は滅多に紹介されていません。東北地方とかならともかく、関西や中間地では育てにくいのだろうと推測。

 

そんなわけで原種プリムラを活用した宿根草花壇は未来の検討課題としておいて、普及している園芸種の話です。

 

プリムラについていろいろ調べているうちにいくつか面白い記事を見つけました。参考までに紹介しておきます。

 

Garden Storyさんの記事。プリムラ類の概要です。矢沢秀成先生が書いておられます。要点がまとまっていてわかりやすい。

gardenstory.jp

サカタのタネさんの育種のエピソードが面白いです。

Episode 11 プリムラ|サカタのタネ 100周年記念特設サイト PASSION in Seed 100 years

100周年記念特設サイトのアーカイブなのですが、19個のエピソードすべてが興味深い話ばかりです。おすすめ。

プリムラ・ジュリアンはサカタのタネさんが1981年に発表した品種だそうです。日本が世界に誇る品種ですね。

 

ジュリアンに似てますが、性質が強健で見た目もなんかゴージャス、ということで最近人気になってきているベラリーナ。ベラリーナでさえ大阪の夏越しは簡単ではないと思いますけど。

www.ogis.co.jp

おぎはらさんの楽天市場店には植物の詳しい説明が載ってます。ベラリーナの説明が勉強になりました。イギリスで作出された、割と新しい品種で性質は強いけどやや晩生で、正月ぐらいにならないと咲かない、とのこと。

item.rakuten.co.jp

 

そして鉢花のプリムラ。最近人気のウインティー。何系になるのか、あんまり教えてくれないんですよねえ、メーカーの人。

www.suntory.co.jp

 

こうして見ると、プリムラって多年草なんだけど、本当に多年草として育てているのは山野草の愛好家ぐらいなのかもしれませんね。たまに「ジュリアンを冬越しも夏越しもさせてるのよ」っていうお客さんの自慢話を聞きますけど。

 

もっと精進して原種プリムラを使いこなせるようになりたいです。