Osaka Gardening Journal

園芸業界の中の人が書きます

ZOOM商談会のはなし2 終えてみて

少し前に書いたZOOM商談会、終わってみて思ったことを書きます。

 

全体の感想としては、現状としては完成度が低かったです。

主催者側の皆さんが不慣れなこともあり、取り組みを私は支持しますが、課題は山積。改善点は無数にありました。ぜひこれを機会にネットを活用した商談、商品説明、情報発信や連携がもっと盛んになって欲しいと思うので、自分なりに思いついた改善点を列記したいと思います。

 

まず、これをZOOMでやることの意味はあるのか?という問題がありました。

実際にやってみると、ほとんどの場合、生産者側が一方的に商品説明や会社説明を行うセミナー形式になりました。持ち時間はだいたい30分ぐらいなのですが、カタログに載っているような一般的な情報をしゃべるだけの内容になりがち。工夫しておられる生産者さんもいらっしゃいましたけれど。文字や画像による情報を読む方が早く、音声で語るとすごく時間を食ってしまいます。動画の画質も悪いので、商品自体もそんなによく見えない。栽培試験などの専門的なデータが公開されることもほとんどなく、特別な情報はほとんどありませんでした。

そのうえ双方向のコミュニケーションを行う余裕はなく、在庫状況や納品予定など、商談は全く行えないのでした。チャットで質問などしてみても、主催者側にはそれを見る余裕もほとんどなく、PCやZOOMの操作に四苦八苦しているうちに時間が過ぎてしまいます。

商談会なので、仕入れ値などの情報を発信することもあります。なので誰もが見れる形式では行えない。クローズした形で行うためにZOOMを用いたのは理解できます。

一方で商談会と言いながらも一方的に動画を配信しているだけの状態になっていました。これのためにわざわざスケジュールを調整して、みんなが同じ時間に集まって行う必要があるのか?

改善点としては、

  1. 根本的に知識や計画に不足があった。youtubeや、中小企業向けのクラウドサービスについて基礎知識のレベルを上げる必要がある。PCなどの基本スキルは若手を活用すれば良い。経営幹部クラスの年寄がスキルまで勉強する必要はないが、利用できるネットサービスについて経営幹部クラスの人が勉強しないと、部下にやらせるにしてもマネジメントができない。戦略が立たない。
  2. 商品説明はバイヤーが予習できるように事前に動画配信や資料配信(PDF)などによって済ませる。本番では行わない。レジュメなども事前配信した方が良い。本番の時間はとにかく貴重。卸値や発注単位、納期などもレジュメに空欄を用意しておいて、当日バイヤーが記入する方式にした方が良い。バイヤーが書くのに忙しくなりすぎると話を聞いてもらえないし、画面を見てもらえない。質問なんかするヒマもない。双方向のコミュニケーションにはならず、だから盛り上がらない。
  3. 一般的に、多くのセミナーでは30分という時間は質問コーナーのサイズ。当日は質問や意見交換、情報交換などコミュニケーションの場にした方が良い。そのためにも、事前に資料の配布とともに、質問を募集した方が良い。
  4. 主催者側、生産者側でもっと多くのスタッフを参加させる。チャットの対応係はいた方が良い。
  5. ZOOMのチャットは個人宛にメッセージを送れるので、主な市場関係者(卸売りの人)も参加させてその場で注文取りをさせるべき。
  6. ZOOMの中で注文を取らなくても、PCのデスクトップに別サイトを別ウィンドウで開かせて注文を取る方法もあるのでは。最近はスマホのLINEで受注している市場もあるし。
  7. 市場関係者の参加が少なかった。ZOOMに参加できる人数は限られているので遠慮した可能性もあるけれど、それなら裏方専用で別のZOOM会議を同時開催すればよい。
  8. ネットの活用が園芸業界全体にとってプラスになるという認識を広める必要がある。リモートでなければ、以前は会場を用意するコスト、スタッフが現地へ行く交通費など、膨大な費用が発生していたけれど、リモートで行えるなら全国から必要なスタッフが簡単に参加できるはず。参加者が少なかったのは残念だった。

思いつくままメモしてみました。

 

ショックだったのは当日バイヤーの参加者が少なかったことでした。

そして商談会はあまり良い内容にはならなかったので、不参加のバイヤーは「それ見たことか。俺はあんなもの無駄だとわかっていたぞ」と言うのかもしれません。でも私は新しい道を開こうとなさった主催者はじめ、関係者各位と、当日参加されていたバイヤーさんたちの側を支持します。価値ある一歩だったと思っております。

 

みなさまご苦労様でした。陰ながら応援しております。